「亞書」(りすの書房)の内容はない!? 国会図書館はこの中身をどう判断するのか?


りすの書房から発刊された「亞書」という書物がネットで物議を呼んでいます。

話題になっている理由が、1冊6万円を超える価格にもかかわらず、内容がないから。

加えて、その本が国会図書館に納本され、その分の代償金が支払われていたからだそうです。

その金額42冊で136万円なり。

謎だらけのこの「亞書」騒動について考察してみます。

 

「亞書」という謎の書物

今年2月に販売が開始された「亞書」という名の書物。

著者は、アレクサンドル・ミャスコフスキーりすの書房から出版されています。

現在は112巻まで作成されており、132巻まで発刊されることが予定されているそうです。

興味を引くタイトルではありますが、驚くべきはその中身。

全480ページにローマ字やギリシャ文字がひたすら並んでいて、洋書かと思いきや、実はこの文字の羅列には意味が全くないんだそうです。

意味がない文字を並べて、どんな本なんだろうと考えてしまうわけですが、これについてりすの書房の社長が明確に答えを出しています。

実は、

「自分が即興的にパソコンでギリシャ文字を打ったもので、意味はない。本そのものが立体作品としての美術品とか工芸品。長年温めてきた構想だった」

ということなんです。

ちなみに、著者のアレクサンドル・ミャスコフスキーも架空の人で、著者名を付けたのも作品のイメージ作りのためなんだとか。

つまり、この書物は読み物ではなく「美術品」ということなんですね。

それなら全てが納得できますね。

では、なんでこの美術品がここまで世の中を騒がせることになったのでしょう。

 

国会図書館の代償金目当てだった?

日本では、国立国会図書館法という法律で、

国内で発行されたすべての出版物を国立国会図書館に納本すること

が義務とされているんです。

皆さんは知っていましたか、この法律。筆者は恥ずかしながら、初めて知りました。

どうしてそのようなことが義務付けられているかと言うと、

現在と未来の読者のために、国民共有の文化的資産として永く保存され、日本国民の知的活動の記録して後世に継承する

という目的があるようです。

そしてこの「亞書」、りすの書房の社長さんはきちんと法律にのっとって78巻までをひとまず納本。

しかし、この制度では、納本された書物の定価の半額と送料を「代償金」という名目で発行者に払うことになっているんです。

1冊64,800円というこの本。りすの書房の社長さんは、42冊分の約136万円を受領しています。

このことについて世間が反発。

内容もなく、1冊の単価もバカ高いこの本を78巻まで納本し、これはどう考えても代償金目当てではないかと言われたんです。

 

りすの書房の言い分

りすの書房は東京都墨田区にある出版社。2013年に設立され、26歳の社長が1人で経営されている会社です。

この社長さんは、1冊64,800円という単価に対し、社長自らが各巻ともレーザープリンターで印刷して、装丁まで行っているので、コストを考えると利益は1冊あたり6千円ほど。なので、この単価は妥当だと反論しています。

また、国会図書館への納本についても、以前10万円の楽譜を作成した時に、あるお客さんから高くて買えないので国会図書館に納本してほしいと言われたのだとか。

その社長さんは、その時から納本を続けているそうです。

価格についても、納本をした理由についても、納得できる答えではあります。

でも、本の額が額なだけに、また内容が海のものとも山のものともつかないものだけに、国会図書館で保存すべき本なのか疑問に思う人がいるのも納得できますね。

 

 国会図書館はどう判断するのか!?

この騒動を受けて、国会図書館はこの「亞書」を返却するという処置にも動いているそうですが、書物というのは表現方法のひとつ。

内容がないとは言え、その中身で本を判断することは、「検閲」にもひっかかることです。

映画「図書館戦争」が好評上映中ですが、表現の自由を国家権力が取り締まるということは、大変デリケートな問題になります。

ただ、図書館側としては、実際に「亞書」を作るのにかかった費用や、販売の実態についてまず精査をしていくということのようで、実際には検閲とはまた違った意味合いのようです。

りすの書房側が、本の返却も受けると言っていることや一連の騒動を受けてAmazonでの販売を中止していることから、何か引け目があるのかと勘ぐってしまうわけですが、それを本当にれっきとした「美術品」として世に出したものなら、誰にもそれを販売することは止められません。

社長のみぞ知る真実。皆さんはこの是非をどう判断しますか?

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