酒鬼薔薇聖斗が元少年Aの名で「絶歌」(太田出版)を出版!目的は懺悔か自己陶酔か?
1997年、神戸市須磨区で発生した酒鬼薔薇聖斗事件。
犯行声明文を出し「酒鬼薔薇聖斗」と名乗った犯人は、当時14歳の少年でした。
あの事件から18年。
酒鬼薔薇聖斗は「元少年A」の名で太田出版より手記を出しました。
そのタイトルは「絶歌」。
そのタイトルにはどんな意味が込められているのでしょうか?
「元少年A」が起こした残忍な事件
事件が起きたのは、1997年、神戸市須磨区。
小学生の女の子がショックレスハンマーで殴られ重傷を負った事件に始まり、二人の小学生の尊い命があまりに残忍な形で奪われ、同年6月に犯人が逮捕されるまで約5ヶ月。
当時、なかなか犯人がつかまらず、そのことをあざ笑うかのような声明文が神戸新聞社に送りつけられ、そんな様子が連日、テレビなどのメディアで伝わっていたことを今でも思い出します。
事件の詳細をこの場で書き表すことは、被害者の子供たちと同じ年頃の子供を持つ筆者としては、到底できません。それほどこの一連の事件は、常軌を逸したものでした。
その後、逮捕された少年は法の下に処分を受けたものの、いかんせん社会的な扱いは当時の身分であった「少年」。
2005年3月に関東医療少年院を本退院となり社会復帰。制約はあるものの、今ではある程度の自由な生活も手に入れ、日常生活を送っていると言います。
元少年A「絶歌」を出版
その「元少年A」が事件から18年経ち、手記を出版しました。
タイトルは「絶歌」。
294ページに及ぶその手記は、
「酒鬼薔薇聖斗を名乗った少年Aが18年の時を経て、
自分の過去と対峙し、切り結び著した、生命の手記」
と説明されています。
この手記の出版を知った被害者の父・土師(はせ)守さんはこう語っています。
「大事な子供の命を奪われた遺族としては、以前から彼がメディアに出すようなことはしてほしくないと伝えていましたが、私たちの思いは完全に無視されてしまいました。何故、このように更に私たちを苦しめることをしようとするのか全く理解できません」
土師さんにも、もう一人の被害者の遺族である山下さんにも、これまでに幾度となく、元少年Aからの手紙が送られたと言います。
あの時の少年も今では32歳の大人。年月は18年も流れました。この18年は反省のために費やされたものと遺族の方たちは信じていたはずです。なのに、なぜ…。
ネットでの反応は?
多くの人たちがこの手記に対し、ネットを通じて反応を示しています。
絶歌買ってしまった。印税のこの人に入るのかと思うとあれだけど読んでみたかった
— こっこ汁 (@ucheke) June 10, 2015
「絶歌」というより絶句か。記事の最後にある模範的な文面は、いかにも少年院の反省文的作文・・・果たしてどれだけ売れるか。【「過去と対峙し、書くことが唯一の自己救済」と理由説明 手記で神戸事件の元少年 http://t.co/TZcTH1pgME
— あみのぶ (@aminobu) June 10, 2015
太田出版にも非難の嵐
出版元である太田出版にも大変な批判が寄せられています。
呟くまでに色んなオブラート用意したけど、包む必要ないか。被害者遺族に許可取ってないなら「絶歌」は即回収すべき。書くことはともかく出版することが人の道を外れてる。
— 住野よる (@yoruyasumi_kuro) June 10, 2015
しかし、太田出版の岡聡社長は
「少年犯罪が社会を驚愕させている中で、
彼の心に何があったのか社会は知るべきだと思った」
と語っています。そして、元少年Aの手紙を添えて遺族に届けられるようです。
“被害者遺族の気持ちを本当に考えているのか”、と思わずにはいられません。
医療少年院を退院した後、身元を隠して家族とは別れて暮らし、溶接工や日雇いのアルバイトで生活をつないでいることも書かれているようですが、そのような現状に被害者遺族の心が慰められるとは到底思えません。
タイトル「絶歌」とは?
このタイトル「絶歌」にはどんな意味が込められているのでしょうか。
広辞苑にも「絶歌」という語句は載っていません。元少年Aにはどのような意味がこの二文字に込められているのでしょう?
歌を絶つ。
彼にとって「歌」がどういうことを意味するのか。
多くの人たちにとって、「歌」と言えば楽しみであり、癒しであるもの。それを絶つとは何かの決意なのかもしれません。
しかし筆者には、どうしてもそのタイトルが自己陶酔のような気がしてならないんです。
世の人たちがどんなふうにこの手記を迎えるのか。それとも拒否するのか。
しかし、被害者遺族の方たちが、またあの頃に引き戻されるのは残念で仕方ありません。
筆者としては、ただただ亡くなられたお子さんたちと遺されたご家族の皆さんが、少しでも心穏やかに過ごしてほしいと願うばかりです。
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